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松浦 秀治*; 鏡原 聡*; 伊藤 祐司*; 大島 武; 伊藤 久義
Physica B; Condensed Matter, 376-377, p.342 - 345, 2006/04
被引用回数:8 パーセンタイル:38.44(Physics, Condensed Matter)炭化ケイ素(SiC)半導体中の欠陥制御研究の一環として、p型4H-SiC中の欠陥とAlアクセプタ不純物の電気的活性化の関係を調べた。加速エネルギー200keV及び4.6MeVの電子線照射によりSiCへの欠陥導入を行った。200keVはSiC中のC原子のみがはじき出されるエネルギーであり、4.6MeVはSi, C, Al原子ともにはじき出される条件に相当する。Alアクセプタの電気的活性化に関してはHall係数の温度依存性を測定することで調べた。その結果、200keV電子線照射では、200meVの活性化エネルギーを持つAlアクセプタ濃度が減少し、それに対応して350meVの深い準位が増加することがわかった。一方、4.6MeV電子線照射では、正孔濃度が急激に減少して、Alアクセプタ濃度が一桁減少し、同時に350meVの深い準位も減少した。以上より、200keV電子線ではC空孔(V)が形成され、そのVとAlアクセプタが結合することでV-Al複合欠陥となり、200meVの浅いAlアクセプタが減少すると考えられる。また、350meVの深いアクセプタ準位がV-Al複合欠陥に起因し、200keV電子線照射では増加すると推察される。一方、4.6MeV電子線照射では、全ての構成元素がはじき出されるため、新たな欠陥生成により正孔濃度(200meV, 350meVの準位)が減少すると解釈できる。